柚木麻子「BUTTER」

カルチャー

かえるちゃんの読書事情

6年前に入院をしてから、紙の本を読もうとすると目がグルグルまわるようになってしまいました。
それからはずっと電子書籍で読書をしています。
言うてそこまでたくさん本を読むわけではないんですが、今回は木嶋佳苗の事件をベースに書かれた小説の「BUTTER」が唐突にイギリスでベストセラーになっていると聞いて、興味が湧いたので読んでみることにしました。

BUTTER (新潮文庫) [ 柚木 麻子 ]

価格:1045円
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感想(8件)


電子書籍は900円台だったんですが、クーポン利用で600円台で購入できました。

木嶋佳苗の事件

婚活相手の男性を3名殺害したと言う容疑で木嶋佳苗が逮捕されたのは2010年のことで、その時期かえるちゃんは仕事を忙しくしていたし、テレビを持っていないからニュースやワイドショーを見る機会があまりなくて、友人が木嶋佳苗の話をしていたのを数回くらいは聞いたことがあるのですが、そこまで関心を持てず、逮捕当時はスルーしていたんです。

なぜか逮捕から15年も経った2025年になってかえるちゃんの中で「木嶋佳苗フィーバー」がやってきました。
美形でもないしスリムでもない、ビジュアルに恵まれているとは言えない木嶋佳苗がなぜ男性たちの心を捕まえて離さず、お金目当てに連続殺人事件を起こすようなことができたのか解せなくて、動画やネット記事を次々と読み、それだけでは飽き足らず小説にまで手を出しちゃいました。



木嶋佳苗の人となりをネット記事などで読み進めて行くと、この方は北海道の北部にある酪農地帯の別海町出身と書いてありました。
かえるちゃんは別海町まで行ったことがないんですが、札幌を離れた北海道の地方の荒涼とした冬景色が頭に甦りました。
広大なだけで閑散とした地方の寒い風景は自分の地となり肉となっているので良くわかるんです。
そこに田畑があるか牛舎があるかの違いだけです。

木嶋佳苗が北海道出身の早熟な少女だったと言う生い立ちは、かえるちゃんが辛い記憶しかなくて逃げ出したかった現実を再現しているような気がして、木嶋佳苗と言う女性に関心を持ちました。
北海道を捨てて、都会に移り住んだのちにちょっとしたバブルがやって来て自分の努力なしに高級レストランやカルチャー教室通いなど、プチ贅沢な暮らしができたところまで、木嶋佳苗とかえるちゃんの生活はリンクしています。

小説「BUTTER」の感想

生育歴がすこし自分と似ていることで木嶋佳苗に共感をしたんですが、小説「BUTTER」が描きたかったのは木嶋佳苗その人ではなくて、やはり容姿に恵まれないけれど自己評価が高く東京拘置所に収監されている女性「梶井真奈子」と言う架空の人物です。

小説 BUTTER

梶井真奈子は北海道の別海町生まれではなく、新潟県の酪農地帯出身と設定が変えられています。
新潟には旅行で行ったことがありますが、そこでどんなに梶井真奈子が孤立して苦しんでいたとしても、それはかえるちゃんとは接点が全くない記憶なんです。

この設定で小説「BUTTER」からは脱落しそうになったんですが、事件が小説の本筋ではなく事件に向かわせるほどの現代女性の「生きづらさ」に焦点を当てていたところが小説としての面白さがありました。
好みだけで言えば持って回ったような表現が多く、無駄に長い小説だったのでもっと手短かに簡潔に書けるだろうと思いました。
1000ページ以上あったようです。
電子書籍で読んだので本の実体の重みがないので、いつ終わるんだ?まだ終わらないんだ?と思いながら読み終えるまでに1ヶ月以上時間がかかりました。

文学作品としての評価はしませんが、フィクション作品としては大変読み応えがある小説でした。

まとめ

今回は木嶋佳苗の事件をベースに書かれた小説「BUTTER」を読んで感じたことを書いてみました。
かえるちゃんの中では木嶋佳苗はスキャンダラスな事件の容疑者なだけではなく、似たようなコミニティで生育した女性として共感を持てる部分があります。
木嶋佳苗と小説中の梶井真奈子は事実を寄せてはいますが全くの別人です。
それを理解した上で別モノとして現代女性の生きづらさを描いた小説を楽しむことはできました。

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